🚪約30年の会社人生に終止符。僕が54歳で会社を辞めたわけ 

コラム

📢突然の決断、そして読者の方へ 

約30年間勤めた会社を退職します。 

50歳を超えたあたりから「終わり」は漠然と意識していましたが、まさかこんな形で決断を迫られるとは思いませんでした。 

もし今、同じように会社を辞めるか悩んでいる方がいれば、僕の顛末がリスクと判断の参考になれば嬉しいです。このブログで、今後の道のりを記録していく予定です。 

💼「仕事人間」だった僕の信条 

実際には、まだ退職ではなく、2年分残っている有給休暇の消化期間中です。年内いっぱいはまだ会社員という身分になります。 

振り返ると、僕は根っからの仕事人間でした。残業も休日出勤もいとわなかった。今の時代には合っていないとわかっていますが、これが性分なのでしょう。「目標を達成するために成果を上げる」—それが、僕にとっての仕事の定義でした。 

そして、その裏には常に**「転落への恐怖」があったように思います。手を抜けば這い上がれないところまで落ちていく。これは、僕たち氷河期世代にかけられた呪い**なのかもしれません。 

🚨現場の混乱と、経営層との決定的な乖離 

事態が動き始めたのは、今期、会社の経営層が入れ替わり、大胆な方針転換がはかられてからです。 

その方針は、僕たち現場の人間から見ると、外部環境を無視した現実味のないものでした。 

一方的な変革が始まり、矛盾する指示が落ちゲーように次々と現場に落ちてきます。成果が出なければ爆発するようなプレッシャー。現場の意見は聞こうとされず、競合の脅威にさらされていた僕は、指示を無視して対応するしかありませんでした。 

そして、下されたのが転勤の内示です。それは、5年間心血を注いできたプロジェクトの責任者を外されることを意味していました。 

責任者でなくなる僕の頭に、今後のプロジェクトの軌道修正案を聞かされ、ある野球選手の有名なセリフがよぎりました。 

「ベンチがアホやから野球がでけへん」 

⚖自由。54歳・人生の選択️安定と 

54歳で会社を辞めれば、正規採用での再就職は難しいでしょう。定年までの5年強は、長くはないけれど、短くもない時間です。 

残りの人生を、安定と引き換えに「間違っている」と思うことに無駄遣いするのはできない。 

幸い、身軽な独り身であり、健康面もまだ問題ありません。経済的にもすぐに困る心配はない。しかし、最も大きな問題は**「時間」**でした。 

「仕事だから」と割り切って、明らかに間違っていることを続けるのは苦痛です。かといって、人生の大半を費やしてきた**「仕事の時間」をどうすればいいのか**、不安でいっぱいでした。 

何もすることがないことが、考えただけでも怖かったのです。 

転勤に伴う引継ぎと引っ越しをするか、すぐに役員に退職を申し出るか。迷う時間はほとんどありませんでした。強めのアルコールを飲んでも、その晩は眠れませんでした。 

📚人生を変えた一冊の「積読」 

結局、浅い眠りを繰り返した後、夜が明けきる前にアラームが響きわたりました。 

暗闇の中、スマートフォンではなく、隣にあった厚みのある文庫本に手が触れました。 

それは、数週間前に立ち寄った書店で購入し、そのまま積まれていた、フレイザーの『初版金枝篇』(ちくま学芸文庫)の上巻でした。 

(「源氏物語」や「資本論」も含め)この部屋には、一生かけても読み切れない本がある。それでも、これからも増えていくだろう。 

表紙を眺めながら、ふと、そう思いました。 

実物の本を読む時間が好きだった。しかし、最近は仕事関係のビジネス書を月に1、2冊読む程度でした。 

「とりあえず、読めなかった本を読もう」 

そう思うと、急に会社を辞める決心がつきました。 

やるべきことが明確になった途端、心がスッと軽くなったのを覚えています。その日のうちに、退職を願い出ました。 

『金枝篇』は、まだ一文字も読んでもいないのに、僕の人生を変える1冊となったのです。 

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